赤字国債について考える

BB13fbHp日本銀行本店.jpg20年4月27日に日銀は「国債買い入れ上限撤廃」を決定しました。
これは、年約80兆円としている国債の購入額のめどを撤廃することで、赤字国債を購入することによって無制限に紙幣(日本円)を印刷して市場に供給するという事です。新型コロナウイルスの影響で財政支出が大幅に増え、赤字国債に頼らなければ予算を確保できないという事情が有りますが、これは歴史的な大きな決断だと言えます。
20世紀の終わりにはブラジルを始め、多くの中南米諸国が財政赤字を補填するために国債発行に頼った財政政策を取った為、ハイパーインフレ→通貨価値の暴落→経済破綻!を起こしました。日本も第二次対戦後の経済混乱期に同じ状況を経験しました。
日本の経済学者や評論家の中には、「日本は赤字国債を大量に発行してもハイパーインフレを起こさない。よって、赤字国債に頼っても問題ない」と主張する方が大勢います。また、「消費税は低所得者層を苦しめるから、撤廃した方が良い。そして、消費税を上げても、結局は財政赤字を補填し切れないのだから、一層の事廃止して、赤字国債で賄った方が良い」と主張する人もいて、赤字国債容認論が目に付くようになってきました。
果たして日本は赤字国債に頼っても大丈夫なのでしょうか⁉
日銀の黒田総裁はインフレ率2%の目標を掲げ、人口減少によるGDPの減少を、インフレによる名目GDPの上昇によって経済の衰退を抑えようとしたものです。しかし、現実には目標のインフレ率2%には遠く及ばず、諦めてしまいました。このような日本の状況では赤字国債を大量に発行してもハイパーインフレは起こらないかもしれません。今のところは!
江戸時代に幕府は財政の悪化を小判の改鋳(金含有率を減らす)によって乗り切ろうとしました。その結果一時的には財政を改善できました。しかし、「悪貨は良貨を駆逐する」と言うように、高品質な小判は市場から消えてしまい、低品質な小判ばかりが市場に残りました。低品質な小判は大量発行が可能となり、幕末当時の飢饉の連続や政情不安なども有って、結局はハイパーインフレを起こし、経済を滅茶苦茶にしてしまいました。江戸幕府が倒れた理由には、このような状況も大きく影響したことでしょう。そして、大事な金は海外に大量に流出していったのです。
かつての日本を含む世界は金本位制によって紙幣の発行量を制限してきました。無制限に紙幣を発行すれば、ハイパーインフレを起こし、経済が破綻するからです。ところが、1970年代のニクソンショックにより金本位制は消滅しました。アメリカ経済とドルの信用力に頼ったドル本位制とも言える変動相場制へと移り変わっていきました。そして、世界の通貨状況は大きく変わっていきました。
少し話が逸れて長くなりましたので、本題に戻したいと思います。現在の日本円はアメリカ・ドル、ユーロに次ぐ、国際決済通貨の地位に有るので、非常に安定した通貨と言えます。お隣の韓国は世界的な経済危機に直面するたびにIMFのお世話にならなければいけないほど、不安定な通貨(ウォン)を持つ経済でした。今はかなり経済力をつけてきたので、安定してきましたが、今回の新型コロナウイルスの影響は未曽有の経済危機に陥るかもしれません。韓国が日本のように赤字国債を乱発すれば、一溜まりも無く経済は吹っ飛ぶでしょう。
日本が赤字国債をこれほどたくさん乱発しても平気なのは2つの理由が有ります。1つは外債で無い事。つまり、国債はすべて国内で消費されているという事です。通貨危機の陥ったギリシャの様に外債に頼っていれば、外国銀行が資金を引き揚げると国家破綻に陥ります。もう1つは、先にも述べた日本円が国際決済通貨の地位に有る事です。アメリカに問題が起これば、外国の投資家は円買いに走り、安全通貨と見做されているので、今のところ円が暴落する恐れは有りません。
しかし、リミッターの外れた赤字国債の発行が続けばどうなるでしょうか。
日銀が国債を買い続けるのであれば、外債ではないので問題は無いように思えます。そして、日本の特殊事情は過剰な通貨供給が起こってもハイパーインフレを起こす気配すらない事です。これは日本人の国民性にもあるでしょう。余分なお金が入ってきても、将来に備えて貯蓄するのが日本人の特徴です。決してパッと使うことは有りません。
それでは国際通貨としての日本円の信用力どうでしょうか。日本が赤字を垂れ流し続ければ、信用力に陰りが出てくることが考えられます。通貨の変動相場制と言うのはその通貨保有国の国力や経済力に反映されて相場が動きます。もし、国際的な評価機関が日本国家及びその経済力が衰退または破綻しかけていると判断し、その評価を下げれば一気に相場は下がる事でしょう。世界の各国が外貨準備として日本円を持っていても意味がないと判断すれば、外国人による円売りが爆発的に増え、日本人の中にも円を売り、ドルやユーロなどの外貨を買い求めるようになるかもしれません。そうなると現在の1ドル=100円前後の相場から、1ドルが200円または300円まで下がるかもしれません。更に悪循環を繰り返し、円安による輸入物価の上昇はインフレを起こし、給与水準は上がらないにもかかわらず支出は否応無しに増えるので、経済は縮小する方向へ向かいます。ドルベースで見れば日本人の一人当たりのGDPは今の2分の1か3分の1になり、途上国の水準になってしまいます。
私は東京オリンピックの後に日本のGDPは少しづつ下がっていくと考えていました。人口が減るのですからどうしてもGDPも減ってしまいます。しかし、今回のコロナショック(新型コロナウイルスの影響)でGDPは5%ほど減ると政府は予想していますが、それ以上ではないかと思います。よって、急激なGDPの減少が起こり、日本経済の衰退は決定的になるのではと思います。
あまりにも悲観的な論理展開をしてしまいましたが、これは避けようのないことで、遅かれ早かれ日本に起こることです。
これからコロナショックにより世界的な経済不況(大恐慌)が訪れるかもしれません。人口が増加していれば、いつかは回復するかもしれませんが、日本の衰退は避けられないでしょう。もしも、日本を浮上させることができるとすれば、それは人口増加しか有りません。もっと積極的な子育て支援の充実や外国人移民の受け入れを認めるしかないでしょう。高齢者の社会保障費を削ってでも(それぐらいの強い意志を持ってですが)子供の教育・子育て支援を充実することが必要と考えています。そして、日本の均質社会を失うかもしれませんが、移民の受け入れは待った無しで考えなければなりません。
高齢者の社会保障費を削ってでもと書きましたが、若年人口が増えれば、税収も増え、財政に占める社会保障費の負担を軽くすることができ、全てが丸く収まります。政府には人口増加策を真剣に考えて欲しいと思います。

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