大麻ビジネスに乗り遅れる日本、世界はマリファナ巨大市場の誕生でハイになっている

日本社会は大麻(マリファナ)を断固拒絶するが、米国では医療用ほか娯楽用も含めて合法化へ突き進んでいる。大きな資金が流れ込んで一大産業になりつつあるが、日本はそれを傍観するだけだ。しかし、日本人でもその恩恵を受ける方法はある。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
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コカ・コーラまで?巨大多国籍企業がマリファナ市場に動き出す
マリファナを徹底的に拒絶する日本。一方、アメリカは…
日本のミュージシャンはマリファナを所持すると逮捕される。そして「危険な薬物中毒者」とか「ジャンキー」とか言われて社会から袋叩きにされる。
アメリカのミュージシャンはマリファナを吸うと「新しい時代の先駆け」として称賛される。そして、マリファナにのめり込めばのめり込むほど金持ちになる。その典型として、ヒップホップの重鎮であるスヌープ・ドッグが有名だ。
スヌープ・ドッグはもともと暴言・暴力・逮捕を繰り返す粗野なギャングスターだったが、ジャマイカでラスタ(聖なるもの)の哲学とその象徴としてのマリファナに染まると、奇妙な聡明さを発揮するようになった。
スヌープ・ドッグは、マリファナに賭けた。2015年、スヌープ・ドッグは「カーサ・ヴェルデ・キャピタル」というベンチャー・キャピタルを立ち上げ、マリファナを促進する事業に次々と投資するようになったのだ。
この「カーサ・ヴェルデ・キャピタル」の投資事業は多岐にわたっている。マリファナの管理を中心にした「metrc」、合法的なマリファナのオンライン販売をする「dutchie」、マリファナの医療企業「Oxford Cannabinoid Technologies」、マリファナ産業の雇用を促進する「Vangsters」等々、多くのポートフォリオを抱えて1億2400万ドル(約134億円)もの利益を出している。
何が起きているのか。マリファナが「巨大産業」になりつつあり、そこに莫大な金が集まり出しているのである。
マリファナ・ビジネスを着実に進めるアメリカ
2018年12月17日。ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、娯楽目的のマリファナ使用を2019年中に合法化すると発表している。「これは2019年の最優先課題の1つになる」とクオモ知事は言った。
なぜ、クオモ知事はマリファナ合法化を他のすべてに優先して取り組むのか。
なぜなら、マリファナを合法化することによって、マリファナに惹かれる観光客が群れをなして集まり、金を落とし、それがニューヨーク州の貴重な観光資源にも税収にもつながるからだ。
アメリカは、同じような「税収増加」を見込んで、ワシントン州、オレゴン州、ネバダ州、カリフォルニア州、コロラド州、バーモント州、メイン州、マサチューセッツ州、首都ワシントンが、娯楽用のマリファナを解禁している。
これらの州がマリファナで税収を増大させることに成功しているのを見ているから、クオモ知事はニューヨーク州でのマリファナ解禁を急いでいると言える。
クオモ知事の動きには、もはや娯楽用のマリファナに対する拒絶感などまったくない。
マリファナは「売れる農産物」
医療用のマリファナは、娯楽用よりもさらに広範囲で合法化されており、すでに30州が取り入れている。
そしてアメリカは、2018年12月11日と12日の2日間で「ヘンプ」と呼ばれる産業用のマリファナを規制物質法の対象から外し、大規模栽培を認める法案を上院・下院ともに可決している。
産業用のマリファナは、衣類にも使われるし、肥料にも使われる。食品にも使われるし、美容にも使われる。あらゆる用途で使い道が広がっている。
マリファナは「売れる農産物」だ。これを合法化することによって、アメリカの農家はより稼ぐことが可能になる。
マリファナの用途には、次の3種類があると考えて欲しい。
1.娯楽用マリファナ
2.医療用マリファナ
3.産業用マリファナ
アメリカはこのすべてを、ゆっくりと着実に合法化させているのである。
理由は最初から言っている通りだ。娯楽用、医療用、産業用のすべてでマリファナはカネになり、実際に莫大な資金がそこに集まり出しているからだ。
アメリカはビジネスとして、ここで「先手」を打っている。あと数年もすれば、娯楽用マリファナも医療用マリファナも産業用マリファナも、アメリカ全州で合法化されていたとしても不思議ではない。
見直された医療用マリファナ
娯楽用マリファナと違う部分で、社会に問題を提起しているのは医療用マリファナである。マリファナは重度てんかんを抑制する効果が実際にあることが知られている。てんかんの危険な発作を抑制する。
他にも、鎮痛、催眠、食欲増進、抗がん、自閉症の治癒、多発性硬化症の緩和、ぜんそくの抑制、生理痛の緩和、嘔吐の緩和、PTSDの緩和等、マリファナの成分は医療の発展に大きく寄与する。
今まで、マリファナは栽培することも所有することも違法だったので、研究が進まなかったし、ましてマリファナの成分を含んだ薬を出すというのは考えられなかった。
しかし、時代は変わった。
その裏側にはオピオイドという鎮痛剤が引き起こした社会問題がある。オピオイドは優れた鎮痛作用を持つ薬だった。1日1錠を飲めば12時間効果が持続して痛みを感じない薬だと喧伝された。
しかし、この薬はヘロインと同様の依存性を持ち、依存すればするほど効かなくなるというものだった。結果的にオピオイドは激しく乱用されるようになり、過去20年で700万人がオピオイド依存に陥るという「アメリカ史上最悪のドラッグ汚染」の元凶となってしまった。
一方で、医療用のマリファナには副作用も依存もない自然な鎮痛作用がある。オピオイドの害が広がれば広がるほど、医療用マリファナは見直され、そして求められ、研究されるようになっていったのだ。
「最初から医療用マリファナが解禁されていれば、オピオイド汚染はこんなにも深刻にならなかったはずだ」
このように訴える人も多かった。
巨大製薬企業も医療用マリファナ研究に動き出す
そして、いよいよ莫大な資金が医療用マリファナに流れ込むようになった。アメリカやカナダでいくつもの医療用マリファナを使った治療薬を製造する企業が上場するようになっている。
GWファーマシューティカルズ、クロノス・グループ、キャノピー・グロース、ティルレイ……。こうした企業がニューヨーク株式市場に上場し、本格的に始動しようとしている。
さらに、今後は巨大製薬大手のアッヴィが確実に医療マリファナの分野に進出してくるし、メルクやノバルティスも医療マリファナの分野に関心を寄せているのがニュースになっている。
巨大多国籍企業がマリファナ市場に動く
2018年9月17日、世界中の人々を驚かせたニュースがあった。
飲料メーカー世界トップであるコカ・コーラが、医療用マリファナの成分が入った飲料への参入を検討するというのだ。医療用の成分なので、飲んだら多幸感でいっぱいになる飲料を目指しているわけではない。
しかし、アメリカのマリファナ・ウォッチャーが裏側でひそかに言っていたのは、次のようなものだった。
「最初に医療用マリファナで足がかりを持ち、マリファナ飲料を研究・開発し、最終的には多幸感が味わえる娯楽用マリファナの成分が入った飲料を出すのが目的ではないのか?」
それが噂で終わるのか、それとも本当の話だったのか分かるのは十数年後になるのかもしれないが、そういう意図がコカ・コーラにあったとしても不思議ではない。そうなれば、コカ・コーラの市場価値もさらに上がるだろう。
実は、大手飲料メーカーがマリファナに目を向けたのはコカ・コーラが最初ではない。はじめにマリファナを取り込む動きを大胆に見せたのは、ビール会社コンステレーション・ブランズである。
この企業は日本ではほとんど名前を聞かないが、アメリカでは「コロナ」や「モデロ」などを製造するビール会社として、バドワイザーのアンハイザー・ブッシュ・インベブと同じくらい人気がある。
2018年にニューヨーク株式市場に上場したキャノピー・グロースは、コンステレーション・ブランズが大株主であるのを見ても、この会社のマリファナへの本気度が分かるはずだ。
他にもギネスビールがマリファナ飲料に参入するのではないかと言われている。こうした流れが本格化したら、ビール会社も炭酸飲料会社もマリファナ成分入りのドリンクを出すのは当たり前の流れになっていくだろう。
タバコとマリファナのポジションが入れ替わる日
この動きを見て、いよいよ重い腰を上げた産業がある。タバコ産業だ。
2018年12月。フィリップモリスを擁する世界最強のタバコ企業「アルトリア・グループ」は、マリファナ企業クロノス・グループの株式を45%を取得して買収することを発表している。
タバコ企業アルトリア・グループは紙タバコから電子タバコの移行が思ったほどうまくいかず、もたもたしているスキに新興勢力であるJUUL(ジュール)に電子タバコの利益をかっさらわれるという醜態を晒している。こうした追い詰められた中でアルトリアはマリファナに目を向けている。
いよいよ「タバコ」は「マリファナ」と出会ったのだ。今後、タバコは先進国で次第に吸われなくなる。しかし、人類は嗜好品を簡単に捨てたりしない。奇妙なことに先進国ではタバコを拒絶しながら、かつては危険なドラッグだと拒絶していたマリファナを受け入れるようになっている。
アメリカではタバコとマリファナのポジションが入れ替わろうとしているのだ。
マリファナはゴールドラッシュに
こうやって俯瞰してみると、何が起きているのか分かるはずだ。今、ひとつの大きな「産業」と「市場」が生まれようとしている。それが、マリファナ産業、マリファナ市場である。
アメリカでは、マリファナを巡る世界が一種の「ゴールドラッシュ」とも言うべき状況になりつつある。
政府も税収を上げるために動いている。そして製薬会社も動いている。飲料大手も動いている。いよいよ本丸の巨大タバコ会社もマリファナ企業を一気飲みして参入してきた。
こうした動きが水面下で起きており、これが明確な「市場」として私たちの前に現われてくるのが数年後だ。
日本人でもゴールドラッシュに参加できる
日本は相変わらず旧態依然として「マリファナは危険なドラッグ」みたいな認識しかなく、かつて日本に存在していた「大麻文化」も捨て去り、忘れ去り、アメリカの動きを呆然と見ているだけだ。
日本人の多くが「娯楽用マリファナに抵抗がある」というのであれば、せめて「医療用マリファナ」「産業用マリファナ」を解禁するくらいの根性を見せてほしいが、そういった動きもアメリカに比べるとかなり鈍い。
私たちは日本でマリファナをふかしてハイになることはできない。
しかし、アメリカで起きているマリファナ産業に「参加」することはできる。マリファナに関連する企業に投資することができるのだ。
ひとまず、この記事に名前が出てきたマリファナ関連株をまとめてみよう。
GWファーマシューティカルズ(GWPH)
クロノス・グループ(CRON)
キャノピー・グロース(CGC)
ティルレイ(TLRY)
アッヴィ(ABBV)
コカ・コーラ(KO)
コンステレーション・ブランズ(STZ)
アルトリア・グループ(MO)
実は、マリファナ関連をまとめたETF(上場投資信託)もあるのだが、これは日本の証券会社ではまだ取り扱いがない。手に入るようになれば、ぜひ所有しておきたいETFではある。それは、以下のETFだ。
ETFMGオルタナティブ・ハーベストETF(MJ)
マリファナ産業というゴールドラッシュの中で、果たして市場を制するのはどこなのか。嗜好品を自分からやめようという人はいない。市場を独占できた企業は未来の高配当優良企業になるのは確実だ。

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