日本に喧嘩を売った韓国は、ジリ貧中国と道連れに。経済急減速で文政権立ち往生

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文政権に長期的な経済展望はありません。日韓関係の悪化がどういう経済問題を起こすかという視点がないのです。そして、韓国が頼りきる中国経済が沈んでいます。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)
※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2019年1月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。
中国経済には頼れない…サムスン一社の輸出で稼ぐ韓国経済の脆さ
日韓関係悪化で、韓国経済が窮地に…
韓国文政権は、単細胞の持ち主です。個人の所得を増やすことが、経済成長の核であると信じています。
確かに、そのとおりですが、これには前提があります。生産性を上げた結果が、賃金上昇を実現するものです。この重要な点を無視して、最低賃金だけを大幅に引き上げました。最賃大幅引き上げが不可能な小規模零細企業は、やむなく従業員を解雇する事態を迎えています。
失業者の増加は、街の景気を悪化させます。これが、自営業者の売上を減らしており、ついに閉店という連鎖を生んでいます。文政権が、行なった最低賃金の大幅引き上げは、こういう悪循環を招いています。
韓国経済は、昨年10月から不況局面に入りました。韓国統計庁が発表していないだけで、2〜3月頃には正式発表となりましょう。それが、国内の不況感を一層増幅するとみられます。
文政権には、長期的な経済展望がありません。日韓関係の悪化が将来、どういう経済問題を起こすかという視点がないのです。現実化してきた輸出減少が、輸出に依存する韓国経済に何をもたらすか。それが、3回目の経済危機になったとき、日本との通貨スワップ協定のない現在、韓国経済に致命的欠陥をもたらすことにならないか。こういう一連のリスクに対する備えがありません。
文大統領は、新年初の記者会見で「日本政府は謙虚になれ」と発言しました。これは、日本へ喧嘩を売ったのも同然のこと。日本の5大紙が、珍しく一斉に反発の社説を掲載しました。日韓関係は、日韓基本条約を締結(1965年)以来、最悪と言われる状態です。
ここで韓国の輸出が大幅に減少し、経済危機になればどうするのか。文大統領は、頭の片隅にもないと思われます。
輸出の26%が中国向け
韓国の中国向け輸出は、輸出全体の26%を占めています。韓国にとって、中国が最大の輸出先です。
この中国経済が、不動産バブルによる過剰債務の重圧で信用収縮を起しています。さらに、米中貿易戦争の影響が、直接(輸出減)・間接(心理不安)に出て来ました。例えば昨年12月、中国の輸出入は下記の通り、惨憺たるものとなりました。これをきっかけに、にわかに世界経済への警戒感が出始めています。
中国は昨年12月、輸出が前年同月比4.4%減。輸入は同7.6%減となりました。いずれも16年以来最大の落ち込みです。ここで、注目していただきたいのは、輸入の減少です。韓国は、中国が最大の輸出先だけに、その影響をまともに受けるのです。
韓国が依存する中国経済は減速していく…
今後の中国経済の見通しは暗いものです。現在、交渉中の米中通商協議が貿易面でまとまったとしても、本丸は中国の経済構造改革です。簡単にまとまるとは思えません。
となると、3月以降も尾を引くでしょう。さらに国内経済特有の問題があります。過剰債務の重圧で信用収縮が起っています。企業は資金調達に四苦八苦しているのです。中国人民銀行は、金利を下げたくても米中金利差の拡大で、資金流出の危険性が強まります。それは、外貨準備高の取り崩しにつながります。こうして、中国経済は、八方ふさがりになりました。
中国当局は1月15日の記者会見で、「より大規模な減税」を今後行う方針を示しました。インフラ投資の拡大という従来の景気刺激策から、減税政策への転換を決めたものです。この方針転換は、インフラ投資の拡大が債務を増やし、金融不安を増幅するという反省に立っています。
減税規模はどの程度でしょうか。JPモルガン・チェースのエコノミストらは、全体のインパクトが約2兆元(約32兆円)、GDPの1.2%相当に達すると推計しています。この2兆元もの財源をどこから調達するのでしょうか。そこで、課税を強化すれば、減税効果を相殺します。減税による景気への波及も不透明で、景気押し上げ効果は小幅にとどまると分析しています。全体として減税によるGDPの伸びは、0.46%ポイント程度と記述しています。以上は、『ブルームバーグ』(1月15日付)の報道です。
結局、中国の経済成長率は今年、かなりの低下を見込まざるを得ません。6.0〜6.3%程度になると見ておく方が無難です。中国が、非効率の代名詞であるインフラ投資の拡大を控えれば、GDP押し上げ分がそれだけ落ちるからです。
中国政府は、短期的なGDP押し上げか、それに伴う債務拡大による信用不安阻止か。二者択一の局面です。長い目で見て、後者を選択せざるを得ないのです。
Next: 韓国の経常黒字が急減へ。半導体1本足で何とか立っているが…
韓国の経常黒字が急減へ
中国経済は、すでに輝ける星でありません。世界経済攪乱の原点になる懸念が深まっているからです。こうなると、韓国は中国への輸出減が、経済成長へかなりのマイナスをもたらします。
韓国の経常収支黒字が、昨年11月から後記のように急減しました。貿易収支を含む国際収支では、経常収支の動向が最も関心を集めています。貿易黒字は減っても所得収支やサービス収支で稼げば、経常収支の黒字を維持できるからです。
その経常収支黒字が、昨年11月には前年同期比30%以上も減って、昨年4月以降で最も低い水準まで落ちました。12月以降は、主力の輸出先の中国景気が不調ゆえ、さらに落込むはずです。
過去5年間、韓国の経常黒字の推移を見ておきます。括弧内は世界順位です。
2013年:811億ドル(5位)
2014年:843億ドル(3位)
2015年:1,059億ドル(4位)
2016年:992億ドル(4位)
2017年:784億ドル(6位)
過去5年間の経常黒字は、世界的にも上位にあります。だが、いったん世界経済が暗転すると、韓国の輸出が落込み経常黒字もそれをストレートに反映して減少するのです。昨年11月の経常黒字が、前年同期比30%以上減って50億6,000万ドルと、昨年4月以降で最低水準まで落ち込んだことに現れています。
韓国のウォン相場は、「カナリヤ」と言われています。世界経済が変調を起こすと、韓国の輸出が減ってウォン相場が下落するからです。これは昔、炭鉱内の安全を知る手がかりにカナリヤを持ち込み、そのカナリヤに変調があれば、鉱員全員が待避のシグナルにしていました。このように、ウォンは「モルモット」代わりにされていたのです。韓国は、こういう点を忘れてはなりません。
日本円は、「安全通貨」と見なされ世界経済変調の際は、円が逃避先として買われます。ウォンと円とは、これだけの歴然とした格差があります。余談ですが、韓国は、この日本に喧嘩を売って来たのです。韓国の経済危機時に、「痛恨の喧嘩」だったと思い返すかも知れません
半導体1本足で立つ危険
韓国の輸出は、半導体で保っているようなものです。
半導体は、昨年1,285億ドルを輸出しました。単一品目では輸出史上初めて1,000億ドル目標を達成し、金字塔を打ち立てたのです。韓国の輸出額6,000億ドルの20%を超えています。
しかし、単一品目で1,000億ドルを超える超大型商品が、市況商品であるところに収益の不安定性があります。韓国半導体協会では、今年の半導体輸出額を1,100億ドル台と減少を見込んでいるようです。甘い感じを否めません。
その半導体は、アップルのスマホ売れ行きが落ちているように、市況が低下しています。今年1〜3月の半導体(DRAM)の販売単価は、業界によれば、昨年10〜12月期に比べ10%程度の低下を見込んでいるようです。この販売単価の下落が、果たして10%程度で止まるのか。あるいはさらに落込むのか判断が難しいところです。
現状では、今年下半期までの下落は、避けられないという見方が多数説です。
中国経済にはもう頼れない
ここで、再び中国経済の動向がカギを握ってきます。スマホの売れ行きが、主要部品の半導体市況に影響を与えるからです。
中国政府は既述のように、景気テコ入れ策のインフラ投資拡大が、債務の増加をもたらし、さらなる信用不安の要因となることに気付きました。そこで、減税による景気刺激策へ転換しますが、好況期の減税効果と、不況期の減税効果は全く異なります。
前者の好例は米国です。トランプ減税で個人消費が活発化しています。後者の例は、バブル経済崩壊後の日本です。減税を行なっても貯蓄に回るだけと批判されました。
今回、中国の行なう減税効果は日本の例のように、減税分がどこへ消えたかという議論が出てくるでしょう。家計は、高騰した住宅購入で多額の債務を抱えています。住宅ローン返済が優先されるので、消費に回る部分はそれだけ減ります。法人税減税を行なっても、企業の設備投資に回りません。過剰設備を抱え、低操業度に悩んでいるからです。バブル経済崩壊後は、あらゆる経済対策を行なっても、その効果は「焼け石に水」なのです。それが、日本のバブル経済崩壊後の教訓です。
中国経済は、はかばかしい回復は望めないでしょう。それが、バブル経済崩壊後の宿命と見るべきです。
これまで、バブルによって需要の先食いをしてきたと考えれば、辻褄が合うはずです。中国が、改革開放後の40年間に平均成長率は9.5%でした。それは、将来の成長率まで先食いしたと見るべきです。
サムスン一社の輸出で稼ぐ
韓国の半導体輸出は、中国で製造される電子製品の「心臓部分」として不可欠な部品の役割を果たしています。中国輸出が低迷する事態となれば、韓国の半導体輸出も落ち込みます。
韓国の輸出では、サムスン電子1社が担うウエイトが極めて高いことが分かります。次に、その実態を見ておきます。資料は、『朝鮮日報』(1月9日付社説「『ポスト半導体』と『サムスン電子』以降が見えない」)。
輸出総額の14%
上場企業全体の営業利益の38%
法人税全体の6.4%
このようにサムスンは、韓国の「巨人」です。同時に、韓国経済の脆さを表わしています。半導体とサムスン電子が、韓国経済の屋台骨を支えている現状は、どう見ても健全と言えません。
危機感が足りない韓国・文政権
文政権は、こういう寒々とした産業界の現状に対して危機感を持っていないようです。
文政権登場後に、大企業の法人税率を引上げました。文政権の「反企業主義」によるものです。大企業は利益を貯め込んでいるから吐き出せ、という単純な動機です。
世界の大勢は、トランプ減税が示すように法人税率の引き下げに動いています。日本も安倍内閣が法人税減税を実施しました。理由は、企業に活性化のインセンティブを与えることです。設備投資を増やし雇用増加につなげる。それが、経済基盤の強化につながります。こうして、日本では雇用が増えて有効求人倍率は高度経済成長時代を凌ぐほどです。
韓国は、日本と状況が真逆です。最低賃金を大幅に引き上げました。昨年と今年で約30%の引き上げとなります。生産性が、2年間で約30%も上がる企業は、滅多に存在しません。韓国のGDP成長率は、年間2〜3%程度です。これは、平均した生産性の上昇率であります。こういう経済が、2年間で約30%もの最賃引き上げに耐えられず、やむなく従業員を解雇しています。
しかも、韓国では最近の就業者数増加率の鈍化要因について、奇想天外な説明をして取り繕っています。つまり、少子高齢化によって生産年齢人口(15〜64歳)比率が減っているので、就業者数が減っていると言い責任を回避しています。
生産年齢人口比率の減少は、GDPの潜在成長率低下を引き起こしますが、日本のように企業の活性化を進めれば、潜在成長率以上の経済成長が実現して、失業率が下がり超完全雇用経済が実現します。
文政権が韓国経済を破壊する
韓国は、「反企業主義」を捨てて法人税率を下げる。また、最低賃金の引き上げ幅を生産性の上昇率並に引き下げる。こういう「企業親和型」の経済政策に転換すれば、成長率が上がって、雇用環境は大幅に改善するのです。
文政権では、こういう政策転換を期待できません。経済成長が悪だと見ているからです。文政権は、後3年続きます。その間に――

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